
Mの紹介/とある中核市の社会福祉事務所の就労支援員。今年で13年目。今まで400人以上の人の就労支援に携わっている。
Rさんは、調理師免許は保持していないが、会社の社員食堂で調理を任されていた。上司である総務部の部長から注意されたことがきっかけで、転職を考えるようになり、Mのところに相談に来た。
詳しく事情を聴くと、Rさんが勤務する食堂は子会社の社員も利用。その社員が外出する際の弁当を作ることを依頼された。Rさんは子会社から別途食材費を渡され、通常勤務に支障がない時間で食材の仕入れから調理まで一貫して担っていた。
そのことを知った部長は通常勤務に関係のない時間外とはいえ、自社の食堂の調理器具を無断で利用している。そんなことはしないようにとの厳重注意を受けた。
喜んで弁当を受け取ってくれる人のことを思うと、自分は役に立っている、悪いことはしていない。現に何年も会社は見過ごしてきたではないか。今更何を言うのかというのがRさんの主張。
面談ではそんな話を数回聞かされたが、結局、会社のほうがRさんに根負けをして元の鞘に収まった。転職をせずに就労支援は終了。

しかし、その1年後に再びRさんは来所。退職を決意したと言う。60歳を超えていること、資格がないとの理由で、なかなか面接までつながらなかったが、面接までつながれば、パワフルなRさんに圧倒され、建設会社の寮の食堂の調理員として採用になった。
最初は調理だけであったが、自分で献立を立て、仕入れをし、調理をし、20人弱の社員の夕食を一人で賄うまでになった。
2年後に来所。上司から味が濃いとクレームをつけられた。自尊心が傷ついた。退職を考えている。相談に乗ってほしい。
結局、Rさんの愚痴を聴いているうちに上司からのクレームがなくなり、退職をする理由がなくなり、今も元気に働いている。
Rさんとの付き合いはかれこれ4年になる。この間、娘さんが女子を出産。その孫に会うことが、唯一の生きがいと言い、寝る間を惜しみながら、元気に働いている。
また、ひょっこりと、転職を考えているので相談に乗ってほしいと来所することになるかもしれない。頑張り屋のRさんとの縁はまだまだ終わらないだろう。

