
Mの紹介/とある中核市の社会福祉事務所の就労支援員。今年で13年目。今まで400人以上の人の就労支援に携わっている。
Uさんは50代後半の男性。自宅で脳梗塞を発症。入院。退院後1年6か月間休業。20年以上勤務した会社での職場復帰はできなかった。後遺症として、階段の上り下りが手すりなしではできないぐらいの歩行困難者になったが、身体障害者の手帳は保持していなかった。
少々自暴自棄になったUさんは、退職金800万円を2年間で使い切り、生活に困窮。生活保護受給者になった。
Mのところに来る前に派遣会社に登録したが、仕事を紹介してもらえないでいた。Uさんに限ったことではない。Mのところに来る失業者は、就労意欲が低いのではなく、自信を喪失していることが多い。
無口なUさんは、はじめはなかなか自分のことを話そうとはしなかったが、面談回数を2回、3回と重ねるにつれて話すようになった。九州出身で5人兄弟の末っ子。高校を卒業と同時に大阪の樹脂成型の製造会社に就職。寮生活に馴染めず、新卒で就職した会社は3年で退職。2社目の会社で結婚し、2児を儲けるもバブル崩壊で失業。3社目の会社に就職。仕事は安定したが、家庭は安定せず、妻は子どもを連れて協議離婚。その後、お酒と親しくなり過ぎて、脳梗塞を発症。現在に至る。
専門知識・技能が活かせる樹脂を扱う会社2社に挑戦するも不採用。3社目で採用。従業員20名のアルミ合金を扱う会社。
面談を重ねることで、自分を取り戻したUさんは、自信をもって面接に臨んだ。採用になった会社からは、試用期間1か月の間に歩行のハンディを克服し、仕事に支障がないように頑張ってほしいと言われた。見事期待に応えることができた。
就職して1か月後に会社から、身体障害者の手帳取得の手伝いをするとの話も出てきた。実直な人柄が認められたからだ。2回目の給料が支給される月に生活保護は就労自立廃止となった。


