【第16話】適職とは何か?

Mの紹介/とある中核市の社会福祉事務所の就労支援員。今年で13年目。今まで400人以上の人の就労支援に携わっている。
Iさんは看護関係の短大を中退後、精神病院の看護助手の仕事に従事。1年で退職。その後4年間はレンタルビデオショップの店員兼バイクの配達員。20代の後半から引きこもり生活を送る。心配した妹が保健所に相談。保健所経由で生活保護を紹介され生活保護受給者。
優しそうで人懐っこい感じがするIさんに介護関係の職業訓練を勧めたがその時は興味を示さなかった。
興味があることはPCに関すること。Iさんはイラストレーター・ワード・エクセルを使えるかもと言う。ITスキルを活かした仕事に従事したことはない。そんなIさんは、ポリテクセンターのIoTシステム技術科に興味を示し受講。半年間皆勤で通学。残念ながら就職はできなかった。
月2回の面談では体力に自信がない。やりたい仕事が分からないと頑なに言い続け、求人申込みはできなかった。一方、生真面目なIさんは自宅のパソコンの立ち上げ画面をハローワークのホームページに設定。起床後すぐに検索する習慣までつけ、自分を追い込んだ。挙句の果てにうつ病を発症。不眠に悩まされた。
Iさんの趣味は小説を読むこと。中でも時代小説が好き。同じ作家の本を何度も図書館で借りては読んでいた。最初の数ページはそらんじられるほどに。
体調が回復したIさんは、ハローワークのナビゲーターから、趣味である読書が活かされそうな図書館の仕事で図書館司書の資格がなくても応募ができる求人を勧められた。
Iさんはやる気になり熱心にチャレンジ。遠いところでは滋賀県の図書館まで面接に赴くも、結果は不採用が続いた。通勤が可能な図書館の求人がなくなったころにMから、最初に勧めた介護関係の職業訓練を勧めたところ、Iさんは受講。終了後、介護施設の就職が決まった。支援開始から4年の歳月が流れていた。適職とは何か、Iさんと一緒に悩んだ4年間であったように思う。



