【第8話】職業訓練/介護関係Ⅱ

Mの紹介/とある中核市の社会福祉事務所の就労支援員。今年で13年目。今まで400人以上の人の就労支援に携わっている。
Mの経験では職業訓練で介護関係の受講者の就職率は他の訓練と比べてダントツで良い。30代後半のLさんは、夫からのDVで他府県から本市に逃れてきた母子家庭。長男が中学生、長女が小学生。初回面談では長男に部活で野球を続けさせてあげたいと言っていた。
Lさんは手に職をつけて自活することを希望。介護職員初任者養成科の職業訓練を勧め、受講。訓練終了後、介護施設に就職。生活保護受給期間はわずか6か月で就労自立を果たした。
40代後半のQさんはSEとして生計が立てられなくなり、重度の知的障がい者の妹と同居している生活保護受給者の母親を頼り、生活保護受給者。同居直後に母が死去。妹さんは障がい者の作業所に通所。作業所で虐められていないかと心配。自宅に居れば居るでいつ何時飛び出さないかと心配。なかなか妹さんとの二人きりの生活に慣れないようであった。それだけ妹思いであることが察せられた。障がいのことが少しでもわかるのではないかと介護実務者養成科を勧め、受講。終了後の就活はQさんの考え方と雇用主との意見が合わず難航。5件目の応募でやっと妹さんのことも理解が得られる介護事業所に就職。その後就労が安定し、生活保護は就労自立廃止。
Mが介護関係の職業訓練を勧めるときに必ず説明することがある。資格取得後、3年間は実務経験を積み、介護福祉士の資格を取得。続いて2年間実務に励み、5年間経過すれば、ケアマネジャーの資格を取得することを目標に頑張ってほしい。さすれば、Mの主観として、生活はより安定し、年収も世間一般的に満足が得られると提案。
介護業界は超人手不足。現在介護施設でパート就労しているIさんの定着支援では、勤務ローテーションは日々変更。とてもやっていられないとの苦言も聞かれる。
介護関係の職業訓練を受講すれば、満足ができる就労に就けることが約束されていないのも現実である。
